シンガポール人材育成の最新のトレンド~行動変容が最強のソリューション!ブレンドラーニング~ page 2

シンガポール人材育成の最新トレンド

~行動変容が最強のソリューション!ブレンドラーニング~

企業研修に対する評価の変化
~研修満足度・知識定着から行動変容へ~

ブレンドラーニングが求められてきている理由は、テクノロジーが進化したからではない。テクノロジーの進化はあくまで手段に過ぎず、ブレンドラーニングの目的は人材開発の本質的な目的を果たすためだ。本質的な目的とは何か?それは事業の最優先課題を解決するために組織課題を解決することである。組織課題を解決するための1つの手段に人材開発がある。人材開発が組織課題の解決に貢献するのは、企業が求めている社員を育成することである。つまり、企業が求める知識・スキル・スタンスを有し、企業が求める期待役割を果たす社員を育成することである。

 皆さんの企業で行われてきたこれまでの人材開発の成果は一体何だっただろうか?それを把握するのに最もわかりやすいのは人材開発の目標設定と評価がどうなっていたかを見ることだ。会社によってさまざまであるが、以下4つの例のうち皆さんの人材開発の目標設定はどうなっているだろうか?

 

<人材開発の目標設定例>

上記の目標設定例にあるように、これまでの目標設定・評価を見ていくと、自社の人材開発ではどこを重視してきていたのかがわかる。また、それが真に自社が求めているレベルなのかどうかも検証できるのではないだろうか。

 以下の図は、教育研修の効果測定として用いられるモデルの1つであるカークパトリックのモデルである。カークパトリックのモデルではLv1からLv4まであり、上記の表はこのLv1-4を人材開発の目標設定例と照らし合わせている。

 

<教育研修の効果測定として用いられるカークパトリックモデル>

さて、自社の人材開発の目標設定・評価を御覧になられただろうか。一部の企業を除き日系企業の多くはLv1またはLv2(目標設定では①の研修実施または、②のスキル・スタンスセット)が多いのも事実である。

 アメリカをはじめシンガポールでもブレンドラーニングが求められている理由は、これまでの「良い研修を提供する(Lv1)」ことでも「スキルセットを行う研修(Lv2)」を行うためでもなく、「行動変容につながる研修(Lv3)」さらには「成果につながる研修(Lv4)」を提供することで企業の経営課題を解決していくことに重きが置かれているからである。 

 

 

<研修に対する評価の変化>

評価のトレンドは、研修の内容や知識スキルの習得から行動変容に移っている。これからの人材開発や研修の評価において重要なことは、「行動変容(Lv3)」をゴールとした研修の設計と、その期待される行動変容が起きたかどうかを評価していくことである。

 次からは、この行動変容を起こすために具体的にどのような方法をしていくことが大事かを見ていく。

従業員の行動変容を促すための効果的な方法

従業員の知識・スキルをセットさせるのであれば研修だけでも十分効果がある。だが、従業員の行動を変容させたいのであれば、結論から申し上げると、研修だけでは不十分である。研修後にフォロー研修をやるだけでも十分ではない。なぜなら、研修単体が人に与える効果は知識・スキルの習得とそれを実践させるための気づきを促すことだからだ。従業員の行動を変容させることをゴールとした場合、先にご紹介したカークパトリックのLv3行動変容を促し、測定できる現場での事後施策が必要となる。それは研修ではないし、研修後の知識テストでもない。研修での目的、内容が職場での実務と連動し従業員の行動を生み出す事後施策の提供が必要とされる。「行動変容」をゴールとする場合、研修後に以下2つを行うことを推奨する。

 

<従業員の行動変容を促す研修後のポイント>

この2点は、職場と切り離された研修施策で完結するのではなく、研修後の職場内での行動発揮にいかに接続させるかがポイントである。先のブレンドラーニングでご紹介したWorkplace Learningはまさにこの行動変容を起こすために存在している。

 人材開発という切り口で企業の組織課題の解決に本質的に向き合うには何が必要か?それは、これまでの満足度の高い研修を行うこと、現場と切り離された研修を行うことから脱却することである。そして、研修×テクノロジー×ワークプレイスのブレンドラーニングを活用し「従業員の行動変容にこだわる」ことが企業の組織課題の解決に貢献する最強のソリューションである。

まとめ

1. シンガポールでの人材開発テーマのトレンド

     a) 従来の専門スキルorマネジメント+テクノロジーベースのスキルへ

2. 人材開発の形態のトレンド

     a) 従来の教室研修から「ブレンドラーニング(教室研修+テクノロジー+ワークプレイス)」へ

3. 人材開発の評価手法のトレンド

     a) 研修満足度・知識定着から「行動変容」へ

4. 行動変容を起こす効果的な方法

     a) 職場と切り離された研修設計から「職場内での従業員の行動変容にこだわったブレンドラーニング」へ